妊活中に葉酸サプリを飲んだほうがいいとよく言われますが、それだけで妊娠できるわけではありません。
しかし葉酸は、厚生労働省が「妊娠初期にとったほうがいい」とすすめている栄養素です。
これは妊娠中に葉酸が不足すると、赤ちゃんの先天性異常のリスクが増えるため。
ふだんの食事に加えて、遅くとも妊娠1か月前から葉酸サプリを飲み始めましょう。
今回は、妊活中から葉酸を飲んでおいたほうがいい理由と、妊活におすすめの栄養素について、詳しくご説明します。
もくじ
葉酸は赤ちゃんの成長に欠かせない栄養
葉酸とはビタミンBの仲間で、DNAの働きなどに関係します。
赤ちゃんの成長に欠かせない栄養素ですから、妊娠中はもちろん、妊活を始めたときから積極的にとる必要があります。
葉酸は、次のような食品に多く含まれています。
・果物 (いちご、ライチ、アボガドなど)
・豆類 (納豆、ひよこ豆、きなこ)
・海藻類、魚介類(生うに、いくら、ほたてなど)
ほかに牛やとりのレバー(フォアグラ含む)にも葉酸が多いのですが、妊娠中はあまり食べすぎないほうがいいでしょう。
レバーにはビタミンAが多量に含まれており、とり過ぎると赤ちゃんに異常が起きる可能性があります。
葉酸が一番必要なのは妊娠3~6週ごろ
葉酸は、赤ちゃんの先天性異常を防ぐことが研究により証明されています。
葉酸をとることによってリスクを下げられる症状には、次のようなものがあります。
・無脳症(流産や死産が増える)
・脳瘤(のうりゅう・流産や死産が増える)
いずれも、妊娠3~6週頃に赤ちゃんの体に作られる、神経管がうまく完成しなかっために起こります。
これらは「神経管閉鎖障害」と呼ばれ、葉酸を必要量とることで発生リスクが抑えられます。
妊娠に気づく前から赤ちゃんを守るために、妊活中も葉酸をとろう
妊娠の週というのは、卵子が受精した日や着床した日からカウントするのではありません。
妊娠する前の最後の生理開始日から、0週目がスタートします。
生理のあと排卵し、卵子が受精したときには、すでに妊娠2週目に入っている計算になります。(月経周期が28日の場合)
葉酸が必要な妊娠3週目というのは、受精してからまだ1週間足らずと、妊娠に気づくのが難しい時期。
「妊娠してから葉酸を飲めばいいや」という考えだと、遅すぎるかもしれません。
卵子が受精するころには、もう母親の体内にじゅうぶん葉酸がある状態が理想的なのです。
厚生労働省は妊娠予定の1か月前から、葉酸をサプリなどでおぎなうようにすすめています。
では次に、葉酸を効率よくとる方法をご紹介していきます。
葉酸を効率よくとるには、食事だけでは難しい
葉酸はさまざまな食品からとれるので、不足することがなさそうに見えますが、実は効率よくとるのが難しい栄養素です。
なぜなら、食品に含まれる天然の葉酸には次のような特徴があるからです。
食材を洗ったときや茹でたときに、水と一緒に流れていってしまいます。
野菜を茹でるなら、汁を捨てなくていいスープや煮物にするなど、調理法を工夫してください。
葉酸は加熱にも弱い栄養素です。
野菜を大量に食べるためには、炒めたり煮たりしたほうがいいのですが、そうすると生で食べるより葉酸の量は減ってしまいます。
実は食品から摂取した葉酸は、体内での吸収率があまり良くありません。
これは、食物中の葉酸がそのままの形では腸に吸収されず、酵素によって吸収できる形に変換する必要があるからです。
このような理由から、妊娠中に必要な量の葉酸を食品だけでとるのは、少し難しいです。
では、どうすれば効率よくとれるのでしょうか。
葉酸サプリなら体に吸収されやすい
体に必要な栄養素は食事からとるのが基本です。
しかし毎日大量の野菜を食べ続けるのは、現実的に不可能ですよね。
そんなときに便利なのが、葉酸サプリです。
葉酸サプリは不安定な天然の葉酸ではなく、腸に吸収されやすい合成葉酸を使っています。
そのため、効率よく不足分をおぎなうことができます。
ただし次に説明する必要量は必ず守ってください。
厚生労働省がすすめている葉酸の量は1日0.4mg
葉酸を始めとする多くの栄養素は、サプリで簡単にとることができます。
しかしその手軽さから、とり過ぎてしまのも問題です。
厚生労働省は、妊娠初期の妊婦に一日0.4mgの葉酸を、サプリなどでとるようすすめています。
ただし1日1mgを超えてはいけません。
どんな栄養素も、少なすぎてもだめですし、反対にとり過ぎても問題が起こる可能性があります。
たまに「葉酸をとり過ぎると赤ちゃんが喘息になる」という情報を見かけますが、1日1mgを超えなければ大丈夫です。
ドラッグストアやネットで葉酸サプリを買うときは、1日分が0.4mg以下に設定されているかチェックしてください。
葉酸サプリは薬ではないので、100%先天性異常が防げるわけではありません。
しかし厚生労働省が「リスクを抑えるのに効果的」と認めている数少ない栄養素ですから、少なくとも妊娠前~妊娠初期は、意識して葉酸をとるようにしましょう。
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妊活中にとったほうがいい栄養素
葉酸以外にも、妊活中にとったほうが良い栄養素があります。
栄養バランスのかたよった食生活や、過度なストレス、喫煙、飲酒などが続くと、卵子の質が落ち、受精しにくくなります。
どんな栄養素も「それだけで妊娠できる」というものではありませんが、不足した栄養をおぎなうことで、健全な卵子の育成を助けることはできます。
現代の女性が不足しがちな栄養素には、このようなものがあります。
・たんぱく質
・ビタミンB6
・亜鉛
月経のある女性は、どうしても鉄分が不足し、貧血になりやすいです。
またふだんあまり肉を食べない人は、たんぱく質の不足にも気をつけてください。
ビタミンやミネラルは、加工食品を多くとる現代で不足しやすい栄養素です。
特に亜鉛は、女性だけでなく男性にとっても生殖活動に欠かせないミネラル。
意識してとるようにしていきましょう。
サプリはあくまで補助食品。栄養はできるだけ食事からとろう
朝食を食べない代わりに、じゃらじゃらと大量のサプリを飲む人がいますが、あまりおすすめしません。
栄養素はそれ1つで効果を発揮するというより、ほかの栄養素と結びついて働くことが多いです。
葉酸も、ほかのビタミンB群と一緒にとることで、お互いに助け合って活動します。
さまざまな食材を使ったごはんを食べれば、自然と「栄養のバランス」は保たれていきます。
サプリはあくまで食事の補助として、自分に必要なものを必要な量だけとるようにしましょう。
特定の栄養素で妊娠できるわけではない。不確かな情報に注意
妊活や不妊治療に、正解はありません。
妊娠のメカニズム自体がすべて解明されているわけではないので、「これをすれば妊娠できる」という答えがないのです。
妊活中は、いろんな情報を目にしたり、アドバイスをもらうこともあるでしょう。
ネットで「私はこのサプリを飲んで妊娠しました」というような、リアルな体験談も多くあります。
しかしその人がサプリを飲んだあとに妊娠したからといって、あなたもそうなるとは限りません。
その人の体質や生活習慣と、あなたのそれは違うのです。
もし多くの人が同じサプリを飲んで妊娠したと言っても、結果そうなっただけであって、それだけが妊娠の原因ということはありえません。
健全な卵子は、健康的な生活習慣から育つ
妊娠するためには、元となる卵子と精子が健全である必要があります。
毎月きちんと生理が来ていても卵子の質が悪かったり、精子の元気がなかったりすると、うまく受精できません。
妊活を始めるなら、次のような生活習慣を男性・女性ともに気をつけていきましょう。
・睡眠をしっかりとり、ストレスを減らす
・タバコ、お酒を控える
・運動し、血行をよくする
・女性は体を冷やさない
・男性は下半身を締め付けたり、あたためすぎない
それでも半年妊娠しなければ、婦人科を受診したほうがいいかもしれません。
生活習慣以外に妊娠を妨げている原因がないか、一度しっかりチェックしておきましょう。
葉酸などの特定の栄養素は、あくまで妊娠を助けるためのものです。
サプリではなくあなたが主体となって、妊娠しやすい環境を整えていってくださいね。